本サイトは以下の研究成果の一部によります。
- 平成21-23年度日本学術振興会科学研究補助金挑戦的萌芽研究「観相資料の文学的研究」(研究代表者:相田満)[課題番号:21652026]
- 平成24-25年度総合研究大学院大学学融合研究事業戦略的共同研究Ⅰ「観相資料の学際的研究」(研究代表者:相田満)
- 平成23-27年度日本学術振興会科学研究補助金基盤研究(A)「和漢古典学のオントロジモデルの高次・具現化」(研究代表者:相田満)[課題番号:23240032]
- 平成27―29年度日本学術振興会科学研究補助金挑戦的萌芽研究「観相資料の学際的研究―マンガも視野に入れた古籍観相資料の分析と応用―」(研究代表者:相田満)[課題番号:15K12853]
研究の概要
観相とは人の身体・容貌・声・気色を観察して、その性質・禍福を見通すことをいいます。観相の代表的なものに「人相見」があります。昔から、観相はいろいろな場面で利用されてきました。
たとえば、王者の偉大さを強調したり、才能ある人や栄達する人は人とは違った相である「異相」を持つことなどです。出世した人には異相があったという伝説が逆に作り出されたこともありました。韓国では採用面接の際に人相見が立ち会ったり、整形も盛んに行われたりもしているといいます。
もう一つの問題は、人物の肖像を描く画家の基礎教養として「観相」が利用されたことです。日本絵画の基となった中国の絵画では、4世紀ころから、人間の内面を描かなければならないので人物肖像画が最も難しいといわれており(顧愷之『論画』)、14世紀ころには肖像画家は人相術に習熟する必要があるとまで言われるようになりました。
そして、現代に至る漫画においても善玉・悪役といったキャラクターの描き分けも、淵源はこの観相にあると考えられます。
研究の内容
研究を進めてきて、わかってきたことに、次のようなことがあります。
一つは、日本に残されている観相書は、世界で最も多いことです。しかも、その技術も到達度も、かつては相当なものであったということです。しかし、現代日本で人相占いが行える占い師はきわめて少ないのが実情です。
近年、内外で観相がブームになりつつあるようです。韓国では2013年に公開された映画「観相」(監督:ハン・ジェリム)が大ヒットしたとのこと。北京図書館での閲覧頻度第一位が「麻衣相法」という書であることも、その一例でしょう。
しかし、学術的な研究が十分になされているとは言いがたく、人相の理論を記した書物である相書の具体的研究や、その影響関係の究明はこれからという所にあるでしょう。
この研究は、現在残されている相書を調査しそれに掲載される絵を中心にデータベース化する所から始められています。たとえば、絵に描かれた図が観相学とどのように関わるか、たとえば国文学研究資料館から公開されている「歴史人物画像データベース( http://base1.nijl.ac.jp/~rekijin/ [文字化けする場合はエンコード環境をutf-8に設定して下さい])」に収載される絵を観相してみてはいかがでしょうか。
参考までに、歌川国芳の描いた千利休は明らかに人相を意識して描かれたものといえるでしょう。
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